プランタス 日々のブログ

2015/01/25

楮刈り


楮刈り

『こんばんはぁ。楮会でございますぅ~…』独特のイントネーションで防災無線を通して流れるアナウンスは集落の楮会代表、モイチさんより。

 私たちが移り住んだ旧加美町の、この杉原の地域は伝統的な手すき和紙、杉原紙の産地です。その起源は奈良時代にまでさかのぼり、1300年という長い歴史を持ちます。大正時代には一時絶えてしまっていましたが、昭和45年に復活され、現在は兵庫県の重要文化財に指定されています。子供たちも小学校6年間を通じて和紙作りを体験し、6年生になると、原料の楮の刈り取りから川さらし、そして漉き上げるまでの全ての工程を体験して、自分だけの卒業証書を作ります。

1月の終わりのこの日は地元老人会の方々が鎌や鋸等を持って、集落の楮畑で刈り取りを行います。母も新しい長靴と剪定鋏をもって、今年もはりきって(?)参加しました。残念ながら写真が刈り取りを終えた後の切り株ですが、半日ほどみなさんで汗を流して作業をされたようです。

加美区内では、各集落、各戸で原料を育て、製紙所である杉原紙研究所に届けます。皆さんの地道な努力から、地域の方がこの伝統工芸品をとても大切にしている気持ちがつたわります。植物原料から、人の手を通して作り出される製品になるまでの工程を体験できる子供たちは幸せですね。出役が要請されるお年寄りにはご苦労ですが…次は草刈の頃かな。
 

2015/01/09

しあわせな一日

イベントフルな年末年始も峠を越して、今日は久しぶりに何もない日。お天気もどんよりとした曇りで、寒いけど雪が降るわけでない。


犬のさつきとの日課の散歩にも目新しい発見はないけど、湿った砂利道に散った松葉が美しいなとか、静かで変化の少ない針葉樹の森も、じっと立ってみていると小さな鳥がたくさん忙しく飛び回っている事に気づく。

なんてことのない日々のありがたさ。


黙々と山道を歩きながら、『ありがたい』という言葉について思いなおしてみる。


近頃の若い人の言葉なら「ありえねぇ~」とかいうかな(^^;)。
本当にありえない、まさにamazing なことがらに感謝の意をこめて、『有り難い』と、どの時代に誰が最初に口にしたのだろう。びっくりするようなステキな出来事、人の心遣いに、自分のような者には『ありえない』ことと謙遜して、感謝した。


しかし、今日のようななんて事のない日に、私はあえて思う。「当たり前」の「平凡な」、昨日と同じような毎日、ともすればもっとも『あり得る』日々につくづく感謝。家族が顔をそろえ、ちょっとぐらい虫の居所が悪かったりしても、だいたい同じ時間にお風呂に入り、食卓につき、何の疑いもなくあたりまえの床につく。
小さな事でも、特別ではないことがらが突然できなくなったら、それはちょっと足元がぐらぐらゆれるような感じ。楽しいイベントなどでいつもと違うならいいけど、何かトラブルがあって、お風呂に入れないくらいならともかく、疑いようのない憩いの場が奪われたり、あるいは誰かが突然一緒に食卓を囲めなくなってしまったら…そんなことが突然、誰にでも『あり得る』こと。


だからやっぱり「あり難い」ことはありがたい。


誰に言うわけでもないけれど、今日もありえないような平凡な日常をありがとう。



そんな気持ちを大切に、あたらしい一年を過ごせますように。



こちらは1月3日。「ありうる」けど、記録すべき特別な日.


美しく輝いた朝の散歩風景より